記事要約
TOEICの点数が高いのに話せないのは、努力不足ではなく「求められる力が別」だからです。TOEICは読む・聞くの処理が中心ですが、会話や会議では“その場で組み立てて口から出す”即時の出力が求められます。差が出るのは、①瞬発(すぐ言い始める力)、②音(聞き取りと発音のつながり)、③型(結論→理由などの話し方の型)の3点です。本記事では、TOEICとビジネス英語の違いを評価軸で整理し、インプットを「言える形」に変換する橋渡し学習、忙しい社会人でも続く練習メニュー、独学の限界とコーチング活用まで、明日から実行できる形にまとめます。
TOEICができても話せないのは“別の力”だから
結論:TOEICができることと、会話で話せることは重なる部分はあっても同じではありません。
「TOEICは取れた。なのに会議で言葉が出ない」。この状態は珍しくありません。むしろ真面目に勉強した人ほど起きやすいです。理由は、TOEIC対策で増えた知識が、そのまま会話の“運用”に変換されるわけではないからです。知っていることと、出せることの間には、処理の段差があります。
たとえば、読む・聞くは「理解できたら次へ」で成立します。しかし会話は、理解した直後に、短い時間で返答を作り、声にして出す必要があります。ここで止まると、沈黙になります。話せるようになるには、知識を増やすより先に「出す回路」を育てる設計が必要です。
TOEICは「読む・聞く中心」、会話は「即時の出力」
TOEICの学習では、文法や語彙、長文読解、音声理解の訓練が中心になります。これらは土台として非常に価値があります。ですが、会話で必要なのは、理解した情報を“短文にして返す”力です。
ここでポイントになるのは、正確さよりも速度です。もちろん誤りが多いと伝わりませんが、実務では「まず結論を言い、必要なら言い直す」ほうが前に進みます。TOEICは正答の選択ですが、会話は自分で文を作る作業です。別競技なので、練習の型も変える必要があります。
話すと詰まる人に多い3つの欠け(瞬発・音・型)
TOEICが高いのに話せない人は、次の3つのどれか(または複合)で止まりやすいです。
1つ目が瞬発。言い始めの一言が作れず、頭の中で完璧な文を探して時間切れになります。
2つ目が音。聞き取れない音があると理解に遅れが出て、返答までの時間が足りなくなります。さらに、自分の発音が相手に伝わりにくいと、会話が続きません。
3つ目が型。言いたいことはあるのに、順番が決まっていないため、長くなったり、結論が遅れたりして、途中で崩れます。
この3つは、才能ではなく設計で改善できます。重要なのは、いきなり全部を直そうとしないことです。止まる場所を1つに絞ると、短期間でも変化が出ます。
まずは「どこで止まるか」を特定する
オリジナル要素として、まずは“止まる場所”を短く診断します。次の3問いに、直感で答えてください。
- 相手の発言が終わった直後、頭の中で「日本語に訳してから」返している
- 返答の最初の一言を考えているうちに、話すタイミングを逃す
- 言いたいことはあるのに、結論が最後になりがち
1つ目が当てはまるなら、課題は音と処理速度。2つ目なら瞬発。3つ目なら型です。どれか1つを“今月の主戦場”にすると、学習が散りません。
例として、海外案件の担当になったAさん(企画職)は、TOEICは十分なのに会議で黙りがちでした。原因は語彙ではなく「最初の一言」が作れない瞬発でした。そこで、会議で使う返しを10個だけ固定し、まずは一言入る練習に絞ったところ、発言回数が増え、会話の流れに乗れるようになりました。
TOEICとビジネス英語の違いを整理(評価軸で見る)
結論:TOEICとビジネス英語は“評価軸”が違うため、同じ勉強を続けても成果の出方が変わります。
違いを曖昧にしたまま学ぶと、「点数は上がるのに仕事で困る」「仕事は慣れてきたのに点数が動かない」といったズレが起きます。ここでは、判断に使える軸で整理します。
点数と実務成果の違い(会議・商談・報告で測る)
TOEICは点数で伸びを測れます。一方、ビジネス英語は「仕事が前に進むか」で測ります。会議なら、要点を確認できるか、反対意見に返せるか、次の行動を言語化できるか。商談なら、条件を整理し、合意の一言を言えるか。報告なら、結論から短く伝えられるか。
実務成果は、スコアほど分かりやすくありません。だからこそ、KPI(行動指標)を置くと進みます。たとえば「会議で最低2回は発言する」「要点確認の質問を1回入れる」など、点数ではなく行動で測ると、学習が仕事とつながります。
語彙の違い(試験語彙 vs 実務語彙・言い回し)
試験で頻出の語彙と、実務で頻出の言い回しは重なる部分がありつつも一致しません。実務は、難しい単語より、短く確実に伝わる言い回しが多いです。例えば、丁寧に言う、条件を確認する、懸念を述べる、保留にする、といった“機能”が重要です。
ここでありがちなのが「難しい語彙で言おうとして止まる」ことです。ビジネス英語では、まず簡単な語で言い切り、必要なら言い直すほうが強い。語彙学習も、量を増やすより、実務の場面で使う語を先に固めると効率が上がります。
スピードの違い(理解→発話の処理時間)
TOEICは、時間制限はあっても、返答を作る必要がありません。ビジネス英語は、理解した直後に返すため、処理時間の余裕が小さいです。つまり、同じ英語力でも「返答の速さ」で差が出ます。
この差を埋めるのが“短文化”と“定型化”です。短く言えるほど速くなり、定型を持つほど迷いが減ります。だから、会話力を上げるには、語彙より先に、返答の形を作ることが近道です。
話せるように変換する“橋渡し学習”の考え方
結論:インプットを増やすだけでは話せません。知っている内容を「言える形」に作り直す橋渡しが必要です。
橋渡し学習とは、読む・聞くで得た材料を、短い発話として再利用できる形に整えることです。ポイントは、練習素材を実務に寄せること、そして“言い始め”を軽くすることです。
インプットを「言える形」に作り直す
おすすめは、インプットを短文に落とす作業です。例えば、長い文章を読んだら「結論は何か」「理由は何か」を一文ずつにします。これを声に出す。ここで初めて、知識が発話に変換されます。
Bさん(製造業のPM)は、英語記事を読む習慣はありましたが、会議では言葉が出ませんでした。そこで、読むたびに「I think… because…」の形で30秒要約を録音するようにしたところ、言い始めの負担が減り、会議での返答が速くなりました。インプットのやり直し方が変わると、アウトプットも変わります。
会議フレーズを“定型化”して即答を作る
即答が苦手な人ほど、会議の定型フレーズを先に固めます。定型化とは、場面に応じて“言い始めの型”を持つことです。例えば、同意、反対、確認、保留、提案の5パターンだけで、会議の大半は回せます。
大事なのは、長い表現を覚えることではありません。最初の一言が出れば、会話は続きます。逆に、最初の一言が出ないと、知識があっても沈黙になります。だから、最初の一言を“自動で出るレベル”にするのが、橋渡しの核心です。
毎日短時間でも出力を切らさない設計
会話力は、筋トレに近い面があります。週末にまとめてやるより、短くても毎日出すほうが戻りにくいです。忙しい社会人が失速するのは、完璧な学習を目指して、結局ゼロの日が増えるからです。
出力の下限を決めると続きます。例えば「毎日5分だけ、30秒要約を2回録音する」。これなら、出張や残業があっても続けやすい。続く設計ができると、学習が仕事の一部になります。
今日からできる練習メニュー(忙しい社会人向け)
結論:忙しい人ほど、メニューは少なく、下限を固定して“ゼロの日”を作らないことが成果につながります。
ここでは、時間別の現実的なメニューを提示します。大事なのは、全部やることではなく、同じ型で回して改善することです。
平日30分:音読+短い反射練習の最小セット
30分しか取れない日は、まず音読で口を慣らし、次に短い反射練習で即答を作ります。音読は、長文より短文を選び、区切りと強弱を意識します。反射練習は、質問に対して「結論→理由」を15秒で返す練習です。
このセットの狙いは、瞬発と音を同時に育てることです。TOEICの勉強が中心の人ほど、口が動く時間が不足しがちです。30分でも、口を動かす時間を確保すると変化が出ます。
平日60分:弱点別(聞く/言う)を分けて回す
60分取れる日は、弱点を1つに絞って深掘りします。例えば「聞き取りが遅い」なら短音声を反復し、区切りを取り、要点を一文にする。「言い始めが遅い」なら会議フレーズを10個だけ固定し、反射で出す。「型が弱い」なら30秒要約を毎回同じ構成で作る。
ポイントは、日替わりでメニューを変えすぎないことです。同じ練習を1週間続けると、改善が見えます。改善が見えると続きます。
休日:棚卸し(言えない原因をまとめて潰す)
休日は、平日に溜まった「言えなかった」を潰します。会議で詰まった表現、言い直したかった一文を、短い台本にして録音します。次の週はそれを練習素材にします。素材が固定されると、迷いが減ります。
ここで、学習が“気分”ではなく“仕事の改善”になるのが理想です。仕事で困ったことを素材にし、次週に反映する。この循環ができると、独学でも実務力は伸びます。

上達が加速する人の共通点(続く仕組みの作り方)
結論:上達が速い人は、学習を「仕事の行動変化」と結びつけ、記録し、素材を固定しています。
英語学習が続かないのは、意志が弱いからではありません。続く仕組みがないからです。仕組みを作ると、忙しくても学習が途切れにくくなります。
目標を「業務行動」に落とす(会議で○回発言)
「話せるようになりたい」は大きすぎて、毎日の行動に落ちません。だから、会議での行動に落とします。例として「会議で最低2回は発言」「要点確認の質問を1回」。これなら、達成できたかが明確です。
行動目標の良い点は、TOEICの点数と違い、日々の仕事で毎週確認できることです。小さな成功が積み上がると、学習が続きます。
学習ログで“詰まりの再発”を減らす
ログは長く書く必要はありません。1日3行で十分です。「今日詰まった場面」「原因(瞬発・音・型)」「次に直す一つ」。これを続けると、同じ詰まりが減ります。
再発が減ると、上達を実感できます。実感があると、また続きます。上達は、才能より再発防止の積み重ねです。
練習素材を固定して迷いを消す
素材を固定するとは、練習で使う文章や会議フレーズを、一定期間変えないことです。毎日違う教材に触れると、達成感は出ても改善が見えにくい。改善が見えないと、継続が崩れます。
会議の頻出場面は限られます。だから素材も限られます。素材を絞るほど、深く練習でき、実務で出やすくなります。
独学で難しい場合の解決策(スクール/コーチング)
結論:独学の限界は“英語力”ではなく、診断・計画・管理の不足で起きます。
独学で伸びる人もいますが、忙しい社会人ほど、途中で止まりやすいのも事実です。止まりやすい人は、仕組みを外部化すると前に進みます。
オンライン英会話だけで伸びる人の条件
オンライン英会話で伸びる人は、レッスン外で復習と準備ができる人です。具体的には、話した内容を録音で振り返り、言えなかった一文を次回までに直す。この改善サイクルを自分で回せる人は、英会話の場を増やすだけでも伸びます。
逆に、受けるだけで終わると、発話は増えても同じ詰まりが残ります。場を増やす前に、改善の型を作る必要があります。
英語コーチングが有効なケース(診断・計画・管理)
英語コーチングが効くのは、弱点が複合していて自己診断が外れやすい人、忙しさで学習が途切れる人、改善が遅い人です。コーチングの価値は、教材の追加ではなく「何を、どれだけ、どう直すか」を具体化し、継続できる形にする点にあります。
TOEICの点数はあるのに話せない人は、橋渡し学習が必要です。ここを自分で設計できない場合、外部の設計と伴走で短縮できます。トライズ(TORAIZ)のように、学習設計と伴走を軸に、実務アウトプットを改善サイクルで回す考え方は、この橋渡しの局面で検討価値があります。
無料相談で確認すべきこと(課題特定の深さ)
相談の場では、雰囲気より中身を見ます。確認したいのは、(1)あなたが止まる場所(瞬発・音・型)を具体に言語化してくれるか、(2)忙しさ前提で現実的なメニューが出るか、(3)週次でどう改善するかが明確か、の3点です。ここが揃うと、独学で迷っていた部分が整理されます。
よくある質問
Q1. TOEICが高いのに話せないのは普通ですか?
普通に起きます。TOEICは読む・聞く中心ですが、会話は即時の出力が必要です。瞬発・音・型のどこで止まっているかを特定し、出す練習を入れると改善しやすくなります。
Q2. まず何から始めればいいですか?
「どこで止まるか」を特定し、瞬発・音・型のうち1つだけを今月の主戦場にします。例えば、会議の最初の一言を定型化して毎日反射練習するだけでも、発言が増えやすいです。
Q3. オンライン英会話だけで話せるようになりますか?
可能ですが条件があります。レッスン外で振り返りと修正ができる人は伸びやすいです。受けるだけで終わると、同じ詰まりが残りやすいので改善サイクルが必要です。
Q4. 毎日どれくらい勉強すればいいですか?
時間より継続が重要です。平日30分でも、音読と短い反射練習で“出力の下限”を固定すると効果が出やすいです。忙しい週でもゼロを作らない設計が鍵です。
Q5. 英語コーチングはどんな人に向いていますか?
弱点が複合して自己診断が外れやすい人、忙しさで学習が途切れる人、改善が遅い人に向きます。診断→計画→管理→改善の型が外部化されると前に進みやすくなります。
まとめ
TOEICが高いのに話せないのは、求められる力が違うからです。会話では「瞬発・音・型」が重要で、止まる場所を特定して1つずつ直すと、短期間でも発言は増えます。インプットを「言える形」に作り直す橋渡し学習を入れ、忙しい社会人は下限固定でゼロの日を作らない設計にしましょう。独学が難しい場合は、診断・計画・管理を外部化する選択肢も検討すると、改善の速度が上がります。


