記事要約
TOEIC偏重が問題になるのは、TOEICそのものが悪いからではなく、学習が「点数のための足し算」になりやすく、仕事で必要な“動作”が増えにくい設計になってしまうからです。理解力は伸びても、会議でその場に返す、要点をまとめる、確認する、結論から短く言うといった運用力が後回しになり、結果として「実務で使えない」と感じやすくなります。本記事では、TOEIC偏重で起きがちな破綻パターン、やり直し社会人が最初に決めるべき前提、仕事で使える英語が伸びる順番、TOEICを残しながら運用へつなげる方法、独学が難しい場合の選択肢までを整理します。
TOEIC偏重が問題になる理由(TOEICが悪いのではない)
点数中心の学習は“実務の動作”が増えにくい
TOEICで点数を伸ばす勉強は、聞く・読むの理解を強くするのに向いています。理解力が弱い状態で実務に出ると、会議やメールの内容が入ってこないので、土台づくりとしては有効です。
ただ、TOEIC偏重になると、学習の中心が「正解を選ぶ」になり、実務で必要な動作が増えません。実務で評価されるのは、相手の発言を要約する、前提を確認する、結論から短く言う、次の一手を置く、といった行動です。点数中心の学習は、こうした行動を増やす工程が抜けやすいのです。
たとえば、TOEIC対策でリスニングは伸びたのに、会議で質問されると黙ってしまう人がいます。理解できても、返答を組み立てて口に出す練習が不足しているからです。英語力が足りないのではなく、動作が不足している。この状態が、偏重の典型です。
インプットが積み上がっても即応・要約・確認が育ちにくい
TOEIC偏重が続くと、インプットは積み上がります。しかし実務では、インプットの量そのものより、短時間で処理して返す力が必要です。会議の場では、相手が話し終えてから考え始めると遅いです。聞きながら要点を掴み、返答の準備を進める必要があります。
要約と確認は、英語が完璧でなくてもできる重要な動作です。ところが偏重学習では、要約や確認質問を「正解がないから」と避けてしまいがちです。ここを避けるほど、実務での沈黙が増えます。
「偏重」かどうかのセルフチェック(目的と行動の不一致)
TOEIC偏重かどうかは、点数の高さではなく、目的と行動が一致しているかで判断します。もし目的が「仕事で英語を使えるようになる」なのに、学習行動が「問題を解く」「単語を増やす」だけになっているなら、偏重の可能性が高いです。
チェックの目安は、学習の中に次の三つが入っているかです。
- 要点を一文で言い直す(要約)
- 条件や期限を確認する(確認質問)
- 結論から短く言う(結論先出し)
これらがほとんど入っていない場合、実務への変換が起きにくくなります。
TOEIC偏重で起きやすい学習設計の破綻パターン
教材が増えて管理できず、継続が切れる
偏重が進むと、教材が増えやすくなります。単語帳、文法書、模試、アプリ、シャドーイング素材。どれも必要に見えますが、忙しい社会人が全部を回すのは現実的ではありません。管理できないほど増えると、今日はこれ、明日はあれ、と学習が散らばります。散らばると体感が出ず、続かなくなります。
ここで必要なのは、削ることです。学習範囲を絞り、毎日同じ型で回せる形にします。量よりも、止まらない仕組みと、改善の回し方が重要です。
改善点が散らばり、体感が出ない
教材が増えると、改善点も増えます。語彙も増やしたい、文法も不安、発音も直したい。全部を追うと、どれも変化が見えません。体感がないと学習は続きません。
伸びる人は、改善点を一つに絞ります。二週間は「会議で要約を一回入れる」だけ。次の二週間は「確認質問を二回する」だけ。こうして行動の変化を体感し、次の改善へ進みます。偏重学習は、この一点集中が起きにくいのが弱点です。
仕事の場面に接続せず“使う練習”が不足する
偏重学習の最大の欠点は、仕事の場面に接続しないことです。たとえば「会議で困っているのに、模試を解いて終わる」「メールが遅いのに、単語だけ増やす」。これではつながりません。
仕事に接続するとは、会議・メール・商談のどれかに寄せて、練習を型に落とすことです。会議なら要約と確認質問、メールなら目的・期限・次アクション、商談なら導入→提案→懸念処理→次アクション。接続があるほど、実務での行動が増えます。
やり直しの英語学習設計:最初に決める3つの前提
英語を使う場面を3つに絞る(会議・メール・商談)
やり直しで最初に決めるのは、学習の範囲です。英語の学習は無限に広がります。だからこそ、実務で使う場面を絞ります。おすすめは三つです。会議、メール、商談。この中でも、今いちばん困っているものを主役に置きます。
場面が決まれば、練習の型が決まります。型が決まれば、毎日のメニューが固定できます。固定できると継続しやすくなります。やり直しの成功は、この順番で決まります。
1日の学習時間を現実ベースで決める(下限設計)
やり直しで失敗する多くは、理想の学習時間を設定して崩れます。重要なのは、忙しさを前提に下限を決めることです。10〜15分でもよいので、ゼロ日を作らない下限メニューを作ります。
下限が守れたら、余裕がある日に標準メニューを追加します。下限が守れないと、標準は意味がありません。まずは止めない設計が最優先です。
伸びない原因を自己診断して優先順位を決める
次に、伸びない原因を切り分けます。聞き取りが弱いのか、要点をまとめるのが弱いのか、確認質問が出ないのか。原因が決まれば、優先順位が決まります。
ここでの注意点は、「語彙が足りない」で終わらせないことです。語彙不足に見えても、実は結論先出しの型がないだけのことがあります。自己診断は、仕事の場面で詰まった瞬間を思い出すところから始めると精度が上がります。

仕事で使える英語が伸びる順番(設計の芯)
まず聞き取りの処理速度を上げる
会議で返せない原因の多くは、聞き取りそのものより処理速度です。聞こえていても、頭の中で整理するのが遅いと返答が遅れます。処理速度は、短い素材を使って「聞く→要点を一文→確認質問」を反復することで上がります。
難しい素材を増やすより、短い素材で型を回す。これが処理速度の最短ルートです。
次に会議・メールの定型表現を固める
処理速度が上がっても、型がないと返答が遅れます。会議なら要約と確認の枠、メールなら依頼と確認のテンプレ。これらを固めると、返答の迷いが減り、速度が上がります。
たとえば会議での確認は「Just to confirm, …」のように枠を固定します。内容が変わっても枠が同じなら、口が動きやすくなります。
最後に言い換えと要点整理で議論力を作る
最後は議論力です。要点を一文にまとめ、別の言い方で言い換える。これができると、会議の中心に入れます。
議論力は、語彙を増やすだけでは育ちません。要約と確認を反復した上で、言い換えを足すと伸びやすいです。
TOEIC学習を残す場合の“位置づけ”
TOEICは土台、主役は実務の型と反復にする
TOEICを完全に捨てる必要はありません。土台として残すなら、主役は実務の型と反復に置きます。TOEICは健康診断の位置づけにし、日々の学習は会議・メール・商談の動作に寄せます。
この位置づけができると、偏重が解消され、点数が上がっても実務が変わらない問題が減ります。
パート別に「要点化→言い直し」へ変換する
TOEIC学習を実務に寄せるには、必ず要点化と言い直しを入れます。リスニングなら、聞いたあとに要点を一文で言う。リーディングなら、段落を読んだあとに結局何かを一文で説明する。これを口頭でやる。ここまでやると、理解が運用へ変わります。
測定は健康診断、KPIは業務行動で置く
測定の主役は業務行動です。会議で要約を何回入れたか、確認質問を何回したか、結論先出しができた回数はどうか。こうした行動が増えるほど、実務英語は“使える”に近づきます。
点数は補助として使い、弱点の仮説を立てる材料にします。点数が上がったのに実務が変わらない人は、この位置づけが逆になっていることが多いです。
独学で回すための改善サイクル(やり直しの継続設計)
録音・ログで“詰まり”を可視化する
改善の第一歩は、詰まりを見える化することです。会議で詰まった場面をメモする。短い要約を録音して聞き返す。こうすると、原因が言語化しやすくなります。
可視化がないと、「なんとなく話せなかった」で終わり、次の打ち手が曖昧になります。やり直しで重要なのは、曖昧さを減らすことです。
改善点を2週間固定し、打ち手を変えない
改善点は二週間固定します。たとえば二週間は「要約を一回入れる」だけ。次の二週間は「確認質問を二回する」だけ。固定することで行動が積み上がり、体感が出ます。
打ち手を毎日変えると、体感が出ません。体感が出ないと、また教材を増やしてしまいます。偏重に戻らないためには、固定が重要です。
週1棚卸しで次週テーマを決める
週に一度、棚卸しをします。何ができたか、何ができなかったか、次週は何を増やすか。ここでテーマを一つに絞ります。
棚卸しがあると、学習が散らばりにくくなります。散らばりは偏重の入口です。棚卸しは偏重を防ぐ仕組みになります。
独学が難しい場合の選択肢(コーチングの使い方)
診断・計画・修正を外付けすると失敗が減る
独学が難しい人は、診断と計画と修正が弱いことが多いです。教材はあるが、何を優先すべきかが決まらない。忙しくて止まる。改善点が毎週変わる。この状態では、偏重が加速します。
ここを外付けできるのが英語コーチングです。弱点を言語化し、忙しさ前提の計画を作り、週次で改善点を一点に絞って修正する。これが回ると、短期でも実務の行動が変わりやすくなります。
比較観点(診断の深さ/計画の現実性/修正運用)
コーチングを比較するときは、教材の豪華さより三点です。診断で原因が言語化されるか、計画が忙しさ前提で回るか、週ごとに修正が具体に回るか。ここが揃っているサービスほど、偏重から抜けやすいです。
たとえばトライズ(TORAIZ)のようなコーチングを検討するなら、会議・メール・商談のどこに寄せて、どんな型を反復し、二週間後に何を増やすのかが具体に出てくるかを確認すると判断しやすくなります。
無料相談で確認すべきポイント(学習設計が具体に出るか)
無料相談では、あなたの困りごとが場面として特定されるか、型が提案されるか、下限メニューが現実的か、KPIが業務行動で置かれるかを確認してください。学習設計が具体に出るほど、偏重から抜ける確率は上がります。
よくある質問
Q1. TOEIC偏重でも点数が上がっているなら問題ないですか?
目的が点数提出なら問題にならない場合もあります。ただ、仕事で使うことが目的なら、要約・確認・結論先出しなどの動作が増えているかを確認してください。そこが増えていないなら、偏重によって実務が変わりにくい状態です。
Q2. TOEICを完全にやめたほうがいいですか?
完全にやめる必要はありません。土台として残しつつ、主役を実務の型と反復に移すほうが現実的です。二択ではなく配分の設計が重要です。
Q3. やり直しで最初にやるべきことは何ですか?
場面を絞ることです。会議・メール・商談の中で、いちばん困っているものを主役に置き、型を作って反復してください。
Q4. 忙しくて学習が続きません。どうすればいいですか?
下限メニューを決め、ゼロ日を作らないことが最優先です。10〜15分で回る型を作ると、忙しくても止まりにくくなります。
Q5. 英語コーチングを使うときのチェック点は?
診断の深さ、計画の現実性、修正運用の具体性です。無料相談で「場面」「型」「KPI」が具体に出るかを確認してください。
まとめ
TOEIC偏重の問題は、TOEICが悪いのではなく、点数中心の学び方が実務の動作を増やしにくい点にあります。偏重を抜けるには、場面を絞り、型を作り、処理速度→定型→要約と言い換えの順に反復し、改善点を二週間単位で一点に固定して回すことが重要です。TOEICは土台として残しつつ、KPIは業務行動で置く。独学で散らばるなら、診断・計画・修正が具体に回る支援を検討するのも現実的な選択肢です。


